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北川えり

北川えりの自転車コラム
タイヤがあればどこまでも

第5回 自転車乗りの方向性

都心部を走るバイシクルライドやホノルルセンチュリーライドで自転車ライドの楽しさを知った北川さんたちチームエレファントのメンバー。次なる挑戦は、よせばいいのに過酷なコースで知られる佐渡ロングライド210。おりしも悪天候にたたられ、日本海の激しい自然条件に悪戦苦闘しながらも、なにかをつかもうと必死でペダルをこぐ…。

アスリートじゃないけど、もっと挑戦したい!

もともと美容と健康のために乗り始めた、“スポーツとしての自転車”でしたが、ひょんなことから夢中になり、私たちも予想外に自転車の魅力にとりつかれ、初めはまったく考えていなかったようなことにも挑戦してみたくなっていました。

アスリート志望でなかった私たちが、折りたたみ自転車やマウンテンバイクで35キロ走ったことを皮切りに、浜名湖やバイシクルライドイン東京で約20キロを走破。鎌倉や湘南、お台場などへ行って練習するようになり、初めは20〜30キロでもヒィヒィ言っていましたが体力もつき、無理せず40キロくらい走れる実力がつきました。

そんな成長もあり、自転車を始めて9カ月後にはハワイで行われる
ホノルルセンチュリーライド80キロに参加。
あのさわやかな気候や綺麗な景色の後押しもあったおかげで、6人で無事完走することができたのです。

そうなると、『もっと走れるわ! 私たち。』
という具合に調子に乗ってしまい、昨年は毎年5月に行われる、険しいコースで有名な
“スポニチ佐渡ロングライド210”に参加し、その厳しさを知りました。

未知との遭遇!? 130キロライド

佐渡ロングライドのスタートに
集合したチームエレファントです

やってきました、佐渡島。
あいにくの天気ですが頑張ります

佐渡ロングライドのスタートに
集合したチームエレファントです

やってきました、佐渡島。
あいにくの天気ですが頑張ります

荘厳な日本海を見ながら
アップダウンを
こなしていきます

イカタコ飯は最高! でも、
「えっ? もうこんな時間に!」

荘厳な日本海を見ながら
アップダウンを
こなしていきます

イカタコ飯は最高! でも、
「えっ? もうこんな時間に!」

すでにハワイで80キロを走っていた私たちは、それから
「もうちょっと走ればいい」
くらいの軽い気持ちで佐渡島へ向かいました。

大会当日は、走る以前に天候との戦いでした。気温自体は14〜15度と言われていましたが、海からの強風と冷たい霧雨が降り、しまいには雷まで鳴る始末。体感温度は0度近くに感じるほどで、トイレに寄ろうとグローブをはずそうとしたのですが、手が寒さでかじかんで動きません。思わず歯で噛んではずしたくらいの寒さで、足も冷えて感覚がなくなり、吹雪の中でスキーをしているかのようでした。

そんな厳しい状況の中、日本海の荒波を横目に走っていた私たちの目に入ってきた交通標語は
『スピード違反は“スルメー”』
『シートベルトを締めるのは“あたりめー”』。

この標語までが、ここ佐渡は美味しい海産物があるということを脳裏に浮かばせてくれ、私たちが走るモチベーションとなりました。

こんな私たちの不純なモチベーションが、この後のサイクリングに与えた影響は大きなものでした。20キロ地点のAS(エイドステーション)で休憩した際に、トイレが混んでいたため、“わかめ蕎麦”を食べることができなかった私たちは、思わず40キロ地点では“イカタコ飯”に喰らいつき、おかわりまでしてゆっくりとしてしまい佐渡を満喫。このようなASでの過ごし方が私たちに大きな影響を与えました。

計画ミス!? 焦り!!!

これがうわさのZ坂。

行く手の大岸壁にZ字型に道路が見えるんです

これがうわさのZ坂。
行く手の大岸壁にZ字型に道路が見えるんです

さイカタコ飯に気を取られていた私たちですが、どうやら時間が足りなくなってきました。100キロ地点の平沢ASに13:30に到着しないとタイムオーバーで失格となってしまうというルールを思い出した私たちは、急に猛ダッシュをかけました。が、その私たちの目の前には佐渡名物、恐怖のZ坂と呼ばれる壁のような山が立ちはだかったのです。

まさかあの山を越えるなんて、と内心躊躇しましたが、周りからの声援もあり、
『行くしかない。』
こう決めて突き進みました。

速度は歩くよりも遅く、ほとんど止まりそうになりながらも何とかみんなで励まし合いながら上りきり、その後も次から次へと続く上りや下りや難関が繰り返しました。下りの急なところでは、カーブに体操用のマットが設置してあったりもして、あれを見るとつい吸い込まれてしまいそうになるので、見ないようにと自分に言い聞かせながら走りました。

それほど無心になって休憩もなく走っていると、一瞬目の前が真っ暗になり、頭がもうろうとして、もうちょっとで側溝に落ちてしまいそうになったところで我に返り、何とか立て直して100キロ地点までたどりつきましたが、ここでは仲間のみんなも疲労困憊で倒れこんでしまったほど厳しい状態。私はというと、脱水症状だったようです。
あまりにも必死で、水を飲むことさえ忘れてひたすら走ったのですが、結局タイムオーバーになってしまいました。それでも何とか130キロの距離を走りきることができたのは、一緒に励まし合いながら走ったチームメイトがいたお陰でした。

夏の富士山合宿です。
自転車がますます大好きになりました

夏の富士山合宿です。
自転車がますます大好きになりました

ゴールに着いたときには達成感で一杯になり
『皆さん本当にありがとう』
という気持ちに包まれ、熱い涙が溢れてきました。なぜこんなに厳しい大会に参加したのかと何度も途中で後悔したりもしましたが、ほかの大会ではなかなか味わえない、深い感謝の気持ちで一杯になった私は、自分の中で何か少し成長できたような気がしました。

こんな過酷なレースを経験したことによって自信がついた私たちは、その夏には富士山に自転車で登る富士山合宿まで敢行してしまいました。

その合宿では意外にも富士山をスイスイと登ってしまったチームメイトがいて、これからはチームエレファントもレースに出て戦えるかもしれない!という希望も見えてきた1年になり、みんなが一緒に初心者から始めたこのチームが、自転車を通じて得られた経験を自信に、日々成長していることを実感しています。

北川えりさん

CHECK!!

新着情報

4月24日発売 雑誌「ALBA」 〜自転車ゴルファーはエコかっこいい〜

4月25日(金)22:54〜 TBS 〜Yell〜(編集人・荻原次晴)

4月29日(火)16:00〜17:55 NHK BS2 〜われらサイクル派宣言〜(再放送)

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