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昼より夜がいい、選りすぐりの光をつないでみた

カフェから外に出ると、もう空は真っ暗。といっても、東京の空が漆黒になるようなことはない。それは深い紺色。ネオンに照らされた白い雲だってみえる。アミューズメントパークのローラーコースターからは夜遅くまで悲鳴が轟く。不気味だ。そんな人工小都市=東京ドームシティの横から、本郷通りへ至る。大きな大学病院が並ぶ御茶ノ水の裏通りは、日中とは大きく町の表情が変わる。薄暗く、クルマも歩く人も少ない落ち着いた雰囲気に包まれていた。

光の街、秋葉原にて。1950年に架け替えられた
万世橋の上から電気街を望む。

光の街、秋葉原にて。1950年に架け替えられた万世橋の上から電気街を望む。

万世橋の横には06年に閉館した交通博物館の
建物が残る。レンガ作りの建造物と、万世橋の
街灯が昭和の名残りを今に伝える。

万世橋の横には06年に閉館した交通博物館の建物が残る。レンガ作りの建造物と、万世橋の街灯が昭和の名残りを今に伝える。

徐々に明るくなる道。そして、中央通に出るや否や、目がくらむほどの光に包まれた。アキバこと電気の町=秋葉原に出たのだ。緑、赤、黄、青。原色が踊る狂ったような明るさ。それはまるで昼間のよう。光の渦を自転車で走り抜けるのは快感だ。安いB級映画でタイムマシーンに乗って時空を駆け抜けるように心ときめかせ、流れる光を横目に風を切りペダルを踏む。

神田駅を通過し、国道17号を日本橋方面へ。マンダリンオリエンタル東京(ホテル)の手前を右に折れると、すぐに日本銀行旧館。そして、横には三井本館が静かに時を刻んでいる。明治、昭和を代表する建造物(どちらも国の重要文化財に指定)は、鮮やかにライトアップされ見るものの目を惹きつける。「えっ、ここヨーロッパ?素敵〜」とボケるせーちゃん。三越本店横から再び国道17号に出て、日本の道路の起点となる日本橋へ。橋の上を通る首都高速については、物議をかもしているが、景観など考えることなく無計画に町が増築され続けた高度成長期や昭和の遺跡としてみると、このミスマッチもまた東京らしさではないかと感じる。

東京メトロ・三越前駅近くに
ある三井本館。1929年に
竣工した。現在も、銀行、
美術館として使われている。

東京メトロ・三越前駅近くにある三井本館。1929年に竣工した。現在も、銀行、美術館として使われている。

ライトアップされた日本銀行旧館。
バロック様式とルネッサンス様式を
混合させたネオバロック様式の建造物。

ライトアップされた日本銀行旧館。バロック様式とルネッサンス様式を混合させたネオバロック様式の建造物。

日本橋も夜景スポットのひとつ。現在の橋は、1911年にかけられた19代目。石造の二連アーチ橋で国の重要文化財に指定されている。電灯の装飾も美しい。

日本橋も夜景スポットのひとつ。
現在の橋は、1911年にかけられた
19代目。石造の二連アーチ橋で
国の重要文化財に指定されている。
電灯の装飾も美しい。

日本橋からは、中央通りをまっすぐ。銀座の光の中をくぐる。日中はクルマが多くて走りにくい銀座も、夜はタクシーの急停車と酔っ払いの飛び出しにさえ気をつければ、意外と走りやすい。そのあとは、真っ暗な日比谷公園を通り抜け、虎ノ門を経て赤坂へ。走行距離はおよそ15キロ。長い休憩を含めて約4時間のクルージングだった。「夜のサイクリングは、はじめてです。自転車もすっごく乗りやすかったし、東京の町と町の間って、こうやって自転車で走るとすごく近いんですね。きれいなところ、外国みたいなところ、おいしいところ…。新しい東京をいっぱい発見できて楽しかったー」と笑顔で話すせーちゃん。ブログのネタもたくさん拾えて満足そう。

夜でも昼間のように明るい銀座の
目抜き通り走る。なぜかワクワク。

夜でも昼間のように明るい銀座の目抜き通り走る。なぜかワクワク。

東京ナイトライドを終え
赤坂へ帰着。お疲れさま!
秋の夜は、急に冷え込むこと
があるので上着を1枚
持って出かけましょう。

東京ナイトライドを終え赤坂へ帰着。お疲れさま!秋の夜は、急に冷え込むことがあるので上着を1枚持って出かけましょう。

今回は、編集部を拠点に組んだが、コースは周回なので、お住まいの近く、アクセスしやすい駅、駐車場がある場所など、便利なエリアからスタートして、オリジナルコースにアレンジして楽しんでください。東京の夜は眠りません。

(撮影・文=山本修二、協力=佐々木恵美)

今回のお得!

文京シビックセンター

じつは今回のルートを考えるとき、当初は東京タワーや六本木ヒルズの展望台を想定していた。ところが、下見をすると、この2箇所は共に人気が高く夜でも混んでいることを知る。サイクリング途中に、気軽に、かつ落ち着いて夜景を楽しむ場所には相応しくないと判断し、他の場所を探すことにした。そこで、ヒットしたのが『文京シビックセンター』。しかもここは区の施設であるため、施設使用料は無料。もちろん展望台に昇るエレベーターもタダ。当初予定していた場所はともに有料施設。簡単な食事代ぐらい浮いてしまう計算だ。意外と空いているので、夜はもちろん、日中でもサイクリング途中に気軽に立ち寄って、東京をみおろしてみてはいかがだろう?何せタダですから。