■ 2007.10.04
vol.6「ロンドン自転車事情」
元気なロンドンの理由を知りたい

ロンドントライアスロンの会場は多くの人で盛り上がる
8月上旬、ツール・ド・フランス中継を終えたばかりの私は、逃げるようにロンドンに行ってきた。7月は「夜だけフランス生活」だったので、今度はリアルなヨーロッパを体感しに…。なんてぜいたくな話ではなく、ロンドンで開催される世界最大規模のトライアスロン「ロンドントライアスロン」をリサーチするためだ。と言いながらも、ちゃっかり現地で大会広報に話しをつけて出場させてもらったが!?
なんと、この大会には1万2000人が出場するというお化けイベント。会場となっている展示場は終日、人、ヒト、ひと〜。東京マラソンのゴール地点を思い出してしまった。
当然のごとく、スイムで一度にスタートできる人数は限られているので、2日間に渡ってひたすらスタートを繰り返す。なので、会場にはレースを終えた人、これからの人、応援にきた人、あまり関係ない人などでごったかえす。日本のトライアスロンの雰囲気を想像していると大間違い。気をつけないといつの間にか自分のスタートが過ぎていたりして…。

バイクラックはツールの報道センターも置かれた見本市会場
とにかくその規模の大きさに驚かされることが多かったが、それにしてもこのイギリスのトライアスロンの盛り上がりはどうしたことだろう。そういえば、ワールドカップなどでも、このところイギリス勢が元気いい。そのわけを知るのも今回の目的のひとつだった。
関係者に聞いても、盛り上がっていることはみな感じているが、その明確な理由が分からないという。この大会にしても、ヨーロッパ中から参加者が集まってくるのだが、8割が国内参加者というくらい盛り上がっているのに理由がないなんて…。
とあるマラソンランナーに聞いてみるとちょっとそれっぽい答えが。

完走の笑顔。左から2人目が白戸
「イギリスではマラソン人口がすごく増えた。シリアスランナーではなく、ファンランナーなんだけどね。そして、このところバイクがブームでしょ。ただ走るよりも、道具を使うし、なんとなくグラマラスな感じがするじゃない。Coolなスポーツって感じかな」
漠然としながらも、なんとなく納得。それを確かめるべく街中ウォッチングへ。
ロンドン市がバイクライドを推奨

ロンドン市内の朝の通勤風景。自転車があふれている
確かにバイクの数が多い。特に通勤時間帯は「なにかイベントでも?」というくらいの数が走り回っている。10年以上前に来たときはそんな印象なかったけど…。どうやら、環境問題と、交通渋滞の解消をねらって、ロンドン市が率先してバイク通勤を奨励しているようだ。とくに好景気の同市にとって、渋滞の問題は深刻。時間帯によっては市に入る車に税金をかけるなどの対策を施してきたが、根本的な解決には至っていない。
そこでバイクの登場。東京同様、街中の移動はバイクの方が結構早かったりする。おまけに地下鉄が高いので(初乗り800円!)経済的にもバイクがGoodっていうわけなのだ。
街のバイクショップに行ってみると、いきなり3つのバイクカテゴリーが書いてある。「ロードレーサー」「MTB」「シティユース」。それぞれの用途と特徴が説明されており、その奥に、コーナーを分けて販売されている。なかなか分かりやすい構成に感心。

自転車屋さんのカテゴリーは3つに分けられている

シティバイク売り場はMTBコーナーよりも充実している
それにしてもシティユースのコーナーがかなり大きい。MTBのコーナーを明らかに上回る面積。品数も多く、これが時代の勢いなのか。その横には鍵コーナーがあり、多くの鍵が並んでいるのだが、結構高額なものが多い。40ポンド(1万円)くらいは当然、中には100ポンド近くするものも。こんな鍵を持っていくほうが大変というくらい立派なものも多い。まあこのあたりは治安の差なんだろうな。
もともとマラソン熱があったところに、時代の要請で登場したバイク通勤。これがトライアスロンの人気に火をつけたというのは一理ありそうだ。
そんなことを考えながら、ウエストミンスター辺りを歩いてみると「Extend your life,cycle.=あなたの人生をバイクで広げましょう」という告知看板が。もちろんロンドン市が掲げているスローガンだ。うーん、かなり進んでいるぞ、ロンドン。東京は追いつけるのか!?

街中にはいたるところに自転車を奨励する看板がある

「自転車に乗るといいよ」というロンドン市長のメッセージ
たとえば、こんな看板が町中にあふれていたらどう思う?
「You're better off by Bike. Mayor of London.」
サイクリストとしては羨ましく、ちょっとジェラシーを感じるロンドンだった。

