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しなやかさが好きな人にはドツボ間違いなし ジェントルな外見に相応しい奥深い本質を持つ
剛性としなやかさが適度にバランスされたフレームは多数存在するが、このC-F1のように 「剛」 と 「柔」 を同時に抱くフレームは珍しい。表面の上質なしなやかさ・滑らかさが、フレームの内部で強靭なコアへと無段階に繋がっていく。この 「無断階に」 というのがC-F1をC-F1たらしめているポイントで、踏み込んでいってもあるところから突然硬くなったり、柔らかいままたわみきって脚力が底付きしてしまうことがない。

反応性を重視するライダーや大馬力スプリンターは物足りなさを感じるだろうが、しなりを好む人にとっては、完成された理想のヒルクライムバイクの一台となるだろう。個人的には、このしなやかさはドツボである。かの名車、LOOK KG481をふたまわりも洗練させた感じ。アンカーRHM9のしなやかさと気持ち良さはそのままに、反応性を上げた感じだろうか。
快適性についても欠点は見当たらない。衝撃のカドを少し丸めてポコンポコンとハンドルに伝えてくるという、レース系カーボンロードフレームのお手本のような振動吸収性を持つ。
と、ここまでは褒めちぎってきたが、しかしハンドリングについては、特に語るべきことはない。ステア特性はいたって普通。あえて言うなら、高速域とダウンヒルでは舵応答性が過敏すぎて、もう少し安定性が欲しいと思った。また、ダウンヒルのコーナーで倒し込むとフォークが突然しなり始めるポイントがあり、慣れるまで恐い。が、これはラジアル組みのホイールが原因である可能性もある。限界近くまで攻め込んだときに限っての話だが。
どちらにせよ、フォークはガチガチではない。しかし決して欠点ではなく、これがヒルクライムでの類稀なる気持ちよさに繋がっているのなら、こうでなくてはいけない。「とりあえずフォークをガチにしてみました!でもあの “味” は消えちゃいましたけど」 では、優れた設計とは言えない。
THE BEST OF SMOOTH BIKE ! 贅沢な余裕、独自の世界観が感動を運んでくる
過激な性能を乗り手に叩き付けてくるのではなく、フレキシブルでスムーズでシルキー。紳士的で大人しく、ライダーの指示に忠実だが、しかしパワフルで、本気を出せば非常に速い。
プリンスカーボンやエクストリームパワーやターマックSL2が好戦的なK1戦士だとすれば、このC-F1は穏やかな精神を持つ合気道の達人だろうか。内面的な魅力に溢れ、バイクが醸し出す 「味」 を重視しているようだ。

様々な種類のカーボンとケブラーハニカムを組み合わせて、この絶妙な剛性感へとC-F1のボディを調律した職人、マウロ・サニーノ氏は、やはり天才だ。
ある項目だけが突出したバイクを作るのは、それほど難しいことではないのかもしれない。設計上の制約が少なくなれば、一台の自転車に、抜きん出た一つの性能を与えることは比較的容易であろう。しかし全ての性能を上手くバランスさせ、その上で官能性までフレームに込めることは至難だ。C-F1は、肯定的な意味での、超ハイレベルな 「良い加減」 の集合体なのである。
しなやかなロードバイクとしてはもはや完成されており、独自の世界の中で美しく完結している一台である。オーバーだと思えた技術と設計は、極端な剛性や限られた性能の取得を目的とするものではなかった。それは、このバイクのみが提供可能な快楽の園を構築するための、過剰なこだわりだったのだ。

だが震えるほどの感動を引きずりながらバイクから降りて2、3歩離れてみると、やはり地味な自転車がポツンと一台あるだけだ。そのルックスは極めて質素で、そこには官能も感動も存在しない。
「本当にこれがあんなに良かったのか?」

しかしその不思議なギャップによって、これからC-F1とそれを走らせるライダーと接するたびに、僕は彼らに対して尊敬の念を抱くことになる。
まずはバイク自体の、その完成された世界に。
そして、あえてC-F1を選んだオーナーの、その素晴らしい選定眼に。

分かるヤツが乗ってくれればそれでいい。
C-F1は、静かにそう言っている。
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