HOME > 安井行生のロードバイク徹底インプレッション> vol.27 PINARELLO FP3 Carbon
そう、僕はFP6のときと同じように少しネガ寄りの立場からFP3を眺めていた。今度こそ 「カタチだけじゃないか」 と言ってやろうと思っていたのだ。カッコは名車のイメージを受け継いで派手で立派だが中身はスカスカ、そんなバイクは最低だから。僕は、ロードバイクにとって性能=スピードこそが最高の商品力だと考える。外見はプリンスだが実力が低いバイクなんてお笑いにもならない。失笑を買うのみである。 しかし実際に走り出せば、このFPシリーズの三男坊はなんの雑味もない純粋なロードバイクの走りを見せてくれるので、書き手としては少々拍子抜けしたが、ピナレロ・ファンとしては安心した。走りそのものは、思わず笑みがこぼれてしまうほどにいい。
それはいたずらに過激さを叫ぶことなくフレンドリーであり、いい意味での重厚感がある。といってもレスポンシブではない、ということでは決してなく、加速は入力する踏力に対して、それこそ瞬間的かつ比例的に逞しく立ち上がる。 登坂能力についても、価格を考えれば、というエクスキューズが付きつつも、平均水準を大きく上回る才能を見せる。登り斜面をダンシングで踏み込んだときに感じるのは、この価格帯のバイクにありがちなバック三角のたわみによる不快なもどかしさではなく、あえて欠点をあげるとすればホイールの重量だ。しかし見るからに重そうなこのホイールも、とりたてて絶賛するほどではないが、実際の走りは決して重くない。トルクをかけても変なねじれ方はせず、動力伝達に秀でている。フレームの素性、ホイールの基本性能、そしてそれらの相性がよほどいいのだろう、走行性能は価格と想像を越えてハイレベルだ。 そして最も感銘を受けたのは、その優れた 「振動減衰性」。個人的には、ロードフレームの 「衝撃吸収性」 が悪くても一向にかまわない。コンペティションバイクなのだ、ガツンときて当たり前。しかし、いくら走りがよくてもそのガツンがドタバタと尾を引くフレームは、ユルくてダルくて出来の悪いバイクだと感じてしまう。このFP3は衝撃を一瞬で減衰し収束させる。進路上に見つけた大きなギャップに身構えても、ショックは伝わるものの一瞬で収まる。これもまたお見事。