2007.11.06
スポーツバイクを楽しむ人は、人生そのものを楽しんでいるように見える。様々なコダワリや思い出がこめられた愛車を紹介しながら、オーナーのライフスタイルを追う「CycleStyle Snap」 第6回は、光学エンジニアの好青年が登場。
デ・ローザのオーナーである彼の爽やかな笑顔の下には、デ・ローザの赤いハートと同じ"情熱"が―
「普段の生活では感じることのできない"闘争心"が湧き上がってくる。それがロードレースの魅力です」
好青年はデ・ローザに乗って現れた。
フレームには、深紅のハートマークが妖しげに、艶を湛えて光る。
しかし、乗っている彼は爽やかすぎるほどの好青年なのである。
この好青年の名前は村上喜一さん(25)。某光学メーカーで設計を担当するエンジニアだ。スポーツバイクに対する憧れから、中学3年生のときにフルサスのGTを購入したのが自転車との出会い。BMXなどにも手を広げながら村上さんは大学に入り、自転車部に所属。そこでGTのフルサスMTBでツーリングを数多く体験する。
「フルサスでツーリングって辛いんですよ、何が辛いって、輪行です。とにかく重いんですよ(笑)。それにリアに荷物が積めないので、フロントキャリアだけで寝袋やテントや炊飯用具を運んでました。もう本当に大変でしたね。」
とまたまた爽やかに笑う。決して嫌な思い出ではないことがその笑顔から伺い知れるのだ。北海道一周、箱根越え、伊豆ツーリング、房総半島一周などなど日本各地をテント泊しながら走り回ったことが何よりの証拠だ。
しかし、MTBでオンロードレースに出場したことがきっかけで、今度はレースの面白さにハマってしまったという。
「レースって、日常生活にはない"闘争心"が溢れてくるでしょう。そこが一番の魅力。あの自分の中に湧き上がるような感覚は、一度味わったらやめられない」
同時期に漫画「シャカリキ!」を読んだことでロードレースに対する興味を掻き立てられ、先輩のデ・ローザを見て、ハートマークが輝くイタリア生まれの美しい自転車に惚れてしまった。
その時からバイトに明け暮れ、翌年に念願の愛車、デ・ローザ ヴィジョンを手にする。横尾双輪館の天井から吊らされていたデ・ローザが、輝いていた。フレームに描かれた華麗なグラデーションに一目惚れだった。この好青年は惚れっぽくもあるのだ。
「デ・ローザは憧れのブランドだったので、自分のものになったときには不思議な感じでしたね。走りの軽さには、とにかく感動しました。踏めば踏むほど滑るようにスピードが上がっていく感覚はロードならではですね」
デ・ローザの赤いハートは情熱の赤。
「レースで一度は勝ってみたい!」
デ・ローザを手に入れてからJCRCやサーキットレース、ヒルクライムに参戦。学生だった当時はヒルクライムレース会場に前日入りし、駐車場にテントを張って泊り込んだこともあったという。
「デ・ローザ買っちゃったし学生だったんで宿に泊まるお金なんかなかったですからね。ヒルクライムやる所はだいたい寒いので大変でしたね。一度なんか寝袋を忘れちゃって。いやぁ、あのときは死ぬほど寒かったですよ(笑)」
デ・ローザと共に自転車人生を疾走し始めた村上さん。
ロードレースを観戦するもの好きで、パンターニやメルクスなど、逸話・伝説・ドラマがある選手が好きだという。ズバリ、自転車の魅力とは?
「気持ちのいい汗をかけるところが好きなんですよ。体が自転車で走ることを求めている気がするんです。社会人になった今は仕事でなかなか自由には乗れませんが、一日一回は自転車で爽快な汗を流したいですね。」
今回の撮影は東京近郊のとある峠で行った。
「峠は久しぶりなので楽しみです!」とまた好青年的コメントが飛び出す。
「一度はレースで勝ってみたいんです。目標を持つということはモチベーションの維持にも繋がりますし。やはり、一度は勝利を味わってみたいですね。」
と、青年は峠を下った後、食堂でハンバーグ定食を頬張りながら目をキラキラさせて語るのだ。なんだかデ・ローザのハートマークの色合いが、深い伝統を湛えた妖しげな深紅から、健康的な情熱の赤に見えてきた。
頑張れ、デ・ローザの好青年よ。 練習なら付き合うぞ。


村上喜一(25)/千葉県出身/エンジニア
小学校〜高校では陸上競技や登山などを楽しんでいたが、大学で自転車部へ。愛機、デ・ローザで週末は練習仲間と手賀沼へ走りに行くことを欠かさないという。最近はデ・ローザと同じイタリアンブランド、ピナレロの二代目パリが気になっているのだとか。カンパニョーロで組んだデ・ローザと、シマノをアッセンブルしたピナレロ。この2台でのバイシクルライフなんて、楽しくないわけがない。村上さん、買ってしまいましょう!

街中でも浮いてしまわないようにモノトーンでおとなしめのウエアをチョイスしている村上さん。キャノンデールのジャージは肌触りがよく、愛用しているのだという。サングラスはブリコ、ヘルメットはGIROのアトモス。

デ・ローザ VISION
村上さんの愛機はイタリアの名門、デ・ローザのVISION。デダチャイ7003アルミで作られた堅実なレーシングバイクだ。購入前からデ・ローザは憧れのブランドであり、華やかなカラーリングに一目惚れして購入してしまったという。今では見られなくなってしまった華麗なペイントが目を引く。コンポは今はなきカンパニョーロ・デイトナ。RXシリーズが発売された後でも、TIMEインパクトペダルを使い続ける。こだわりがあるのだそうだ。練習ではリジダの手組みホイールを使うが、決戦用としてキシリウムも所有。7003フルアルミにキシリウムとは、なんともスパルタンなバイクだ。


