2008.1.18
スポーツバイクを楽しむ人は、人生そのものを楽しんでいるように見える。様々なコダワリや思い出がこめられた愛車を紹介しながら、オーナーのライフスタイルを追うサイクルスタイルスナップ。第7回は、自転車ショップのスタッフであり、デザイナー・イラストレーターとしても活躍する杉山さんのバイシクルライフにフォーカス!
これぞ理想的な自転車カップル?
自転車ショップのスタッフでもある美人デザイナー
家族、あるいは恋人と生活を共にする男性(もしくは女性)サイクリストは、ある壁にぶち当たって頭を悩ませるのが常だ。「同居人の理解」という高く、分厚い壁である。バイク保管場所の問題、所有する台数の問題、自転車にかける金額の問題、時間の問題…
抜本的解決を目指し、自転車の楽しさを共有しようと無理矢理スポーツバイクに乗せてみても、お尻が痛いだの首がこるだの、クルマの方がラクだのと文句を浴びせかけられ、僕らの愛するこの素晴らしき乗り物にはプイと見向きもしなくなることが多い。
そのうちにデ・ローザのクロモリフレームを粗大ごみ呼ばわりし始め、カンパニョーロのホイールを邪険に扱ったりもし、コルナゴのトップチューブは物干し竿代わりに使われる(確かにバスタオルを干すのに調度良い長さではある)。しまいには 「そんな格好で外を出歩かないで頂戴!」 などと言われたりもするかもしれない…筆者は結婚する前から頭を痛めているのである。
そんな中、今回ご紹介する女性のご夫婦は、僕ら自転車乗りにとって理想ともいえる生活スタイルを築き上げている。彼女の名は杉山知子さん。このサイクルスタイルスナップ第4回に登場していただいたロードバイクショップ「コグス」の店長、杉山英典さんの奥様である。
ご自宅にお邪魔すると、室内に設置されたバイクスタンドにはご夫婦のロードバイクが並んで置かれている。レースシーズンに入ると、ヒルクライム好きの英典さんのためにカロリー計算されたおいしいご飯が食卓に並ぶ。もちろん知子さん自身もロードバイクと小径車を所有し、サイクリングからレースまで、幅広いライディングを楽しむサイクリストである。
きっかけはご主人からプレゼントされたロードバイク
エンデューロや小径車まで幅広く自転車を楽しむ
「小さい頃はオートバイに乗りたかったんです。人の後ろに乗るのなら自分で運転したい!ってすぐ免許を取って、色んなところにツーリングに行きました。もともと二輪好きなんですね。風を受けてアクティブに走りたいんです。」
今では自転車にどっぷりの生活を送る知子さんの、自転車との出会いは2年半前。当時、恋人だったご主人の英典さんが誕生日プレゼントとしてキャノンデールR500を贈ったのだ。そして知子さんは、この人生初のロードバイクですぐにエンデューロに出場し、いきなり3位に入賞してしまう。その後も英典さんと共にエンデューロレースへの参加を重ね、数々の入賞を果たすことになる。
「いきなりプレゼントされたロードバイクですが、ダイレクト感溢れる走行感がすぐに好きになりました。エンデューロイベントに参加するのも好きです。元々バレーボールという団体競技をやっていたこともあって、みんなと一緒に走れるのが楽しいですね。」
最近手に入れたのが、GIOSの白いミニベロ、MIGNON。
杉山さんは「これ、いいよ!」と小さな2台目の愛車がお気に入りだ。
「確かにロードバイクみたいなスピードは出ないけど、近場を回るには最高。服を選ばずに、何でも乗れるところもいいですね。デートっぽい服とかブーツでも楽しめるんですよ。フットワークの軽さが大きな魅力。」
だからこのジオスにはセンタースタンドを付ける。
「停めるときに壁を探してウロウロしなくていいでしょ(笑)」
夫婦で自転車を楽しみながら、
理想のショップを目指す
スポーツバイクに乗り込んでいく過程で、チョイスするパーツによって乗りやすさや快適性が大きく変わることを実感し、自転車のパーツにも興味を持ったという。
「ショートリーチ用のSTIレバーが発売されていますよね。手の平が小さい私にとっては、それでもレバーが遠くて乗りづらいんです。だから今はスペーサーを2枚入れて、リーチを短くしています。キャノンデールの女性用モデルに最初ついていた大きなサドルだって、私には幅が広すぎて骨盤が痛くなってしまいました。私のような小柄な女性ライダーにはアリオネのようなスマートなタイプがフィットするのかもしれないですね。ロードバイクって、少しの工夫でかなり乗りやすくなるんですよ。」
このようなご自身の経験は、ショップ店員としての業務にも活かされる。売り上げよりも、「どうすればお客さんが自転車を楽しめるようになるか」をいつも考えているという。
「例えばね、パワーコーズっていう軽量なザイロン繊維を使ったブレーキワイヤー。これは取り付け方が非常に特殊でコツが要るんです。この商品をネット通販やネットオークションで売っているお店があるけど、ちょっと無責任じゃないかなって思います。気をつけて作業しないとすぐワイヤーそのものをダメにしてしまうし、ブレーキワイヤーだから命にかかわりますよね。コグスはネット販売が主ですが、この商品については使用経験のあるオーナー(ご主人の英典さん)が店頭で取り付けさせてもらっています。いくらネットショップだからって、無責任な売りっぱなしはできませんからね。」
自転車ブームといわれる現在、当然ながらビギナーのサイクリストも増えてきている。しかし世の中には敷居の高いプロショップや、親切とは言えない対応をする店もまだまだ多いのが現状だが…
「これからはお客さんが喜んでくれるようなショップにしていきたいと思っています。自転車を楽しんでいる人たちのお手伝いが出来ればいいな、と。」
と語る杉山さん。本当に必要とされているのは、このような言葉を持っているショップなのだと思わされてしまう。
「そうそう、最近オートバイを手放したんです。日々の移動はもうほとんど自転車になりました。サイクリングロードを多摩湖まで走ったり、ときには主人の練習コースを一緒に回ったりもします。お弁当を作って公園までサイクリングなんて楽しいですよ。保温ボトルにオニオンスープを入れてね。」
僕ら自転車乗りにとって、どこまでも羨ましい杉山夫婦なのである。


杉山知子さん/新潟県出身/デザイナー・ショップスタッフ
美術系専門学校を卒業後、デザイン会社に勤務。現在はフリーのイラストレーター・デザイナーとして活躍する。一方で、ロードバイクショップ「コグス」でデザイン・販売促進を担当するショップ店員でもある。2007年2月、このサイスタスナップ第4回に登場してくれた杉山英典さんと結婚し、愛猫2匹と共に充実した自転車生活を送る。
杉山さん夫婦が経営するロードバイクショップ「コグス」は、オンラインの通信販売をメインにロードパーツを数多く取り扱う。特に軽量パーツを多くラインナップ。特価品にも要注目だ!
コグスホームページ:http://www.cogs.jp/

ご主人の英典さんと近くの公園で談笑。「キャノンデールで本格的に走るときやレースに出るときはもちろんサイクルウエアを着ますが、今日はカジュアルすぎないけど動きやすい格好にしました。Gジャンにキュロット、ブーツでちょっとしたお出かけ風です」

ジオス MIGNON(奥)
キャノンデール R500(手前)
杉山さんの2台の愛車。奥のホワイトのジオス MIGNONが近所の移動に使うバイク、手前のキャノンデールR500がレースなどで使用するバイクだ。このキャノンデールにはご主人の手によって、小柄な知子さんが乗りやすいように様々な改良が加えられている。少ない握力でも確実に止まれるようにブレーキキャリパーをグレードアップし、レバーにはスペーサーを2枚入れてリーチを短くしている。クランクは長さ165mmのコンパクトタイプ。サドルは座り心地がよく、カラーバリエーションに富むフィジーク・アリオネ。ご主人の愛情が感じられる一台だ。コラムスペーサーのカラーを変える遊び心も忘れない。






