湯けむりの町から非日常の頂上へ
天下の名湯と名高い草津の恒例イベントとなった「ツール・ド・草津」。
今年で12回を数え、1240名もの参加者がゴールを目指す。
温泉街から白根山まで、距離13km・高低差800mを駆け上がるこのヒルクライムレースを実走完全レポート!
レースだけではない草津の魅力が満載のイベント

かすかな硫黄の香り。町のあちこちから立ち上る湯けむりがなんとも言えず風流だ。10時に東京をスタートし、仲間とともにスタート地点近くの宿に到着したのは14時すぎ。開会式とウエルカムパーティーに参加し、チーム紹介や豪華商品が当たる抽選会などで盛り上がる。その後、自転車を組み立てて軽く走り最終調整。さて、それからは天下の名湯、草津をたっぷりと楽しむ。
レース自体も楽しみなのだが、それと同じくらいに温泉が魅力的な草津という地。豊富な湯量(自然湧出量日本一の毎分32,300リットル)と日本有数の酸性度が特徴の名湯だ。宿泊した宿の木造りの露天風呂からは夜になりかけた濃紺の空と、うっそうと茂る木々の大自然が見え、明日のレースへのワクワクを必死に抑えながら静かに体を休めるには十分なシチュエーションだ。
温泉をゆっくりと楽しんで、おいしい料理をいただき、お酒はほどほどにして布団に入る。
でもレース前日はいつもドキドキしてしまうからなかなか寝付けないんだよなぁ…。
レース当日は絶好の自転車日和!まずは朝風呂に…

7時前に起きると、空は雲ひとつ無い快晴。まずは贅沢に朝風呂だ。早朝の露天風呂はまた格別。レースは10時スタートなのでゆっくりできるのもツール・ド・草津のいいところだ。
さて、いよいよメインイベント。今年からチャンピオンクラスが新設され、一般ロードクラス、一般MTBクラスの3カテゴリで行われる。半分の距離(6km)のコースも用意されているので、ビギナーでも参加可能だ。
スタート地点に行くと1000人を軽くこえる自転車乗りが集まっており、否が応でも気分は高まる。レース前に草津の名物・湯畑をぐるりと一周する5kmのパレード走行が設定されているのがツール・ド・草津の特徴の一つだ。温泉街の沿道で多くの人が拍手と声援を送ってくれ、プチツールドフランス気分が味わえる。これが結構な快感で、レース前のウォームアップにもなる。主催者から参加者への粋なプレゼントだ。
山と自転車という魅力的な組み合わせが、人々を感動の頂点へと押し上げる

いよいよスタート。10秒前からのカウントダウンに心地よい緊張は最大となる。パン!とスタートの空砲が鳴れば、あとは一心不乱にペダルを踏むもよし、景色を楽しむもよし。歯を食いしばってライバルに食らいつき、自分の限界に挑戦してもいい。去年の自分のタイム更新を目標とする選手も多い。それぞれの楽しみ方で頂上を目指そう。コースはまだ開通前の志賀草津道路。13kmと比較的短く平均勾配も6%とそんなにキツくないので初心者の方にもオススメできる。
前半は新緑の林の中を登るコースだが、硫黄臭が漂う殺生ヶ原を通過すると目の前がひらけ、壮大な風景が広がるようになる。まだ残る雪に反射する太陽光がまぶしく、ゴツゴツとした岩が非日常感を高めてくれる。
40分とちょっとでゴールし、息を整え顔を上げると、目の前には白根山がそびえ、眼下には大自然の間を縫うように九十九折の道が下界まで続いていた。
この自らの脚力のみで登りきった感動は、他の何物にも変えがたい。
完走した選手たちも、応援の仲間に迎えられ達成感と爽快感にあふれた笑顔で感動をかみしめていた。
感動はまだまだ続く…

ゴール地点の白根レストハウスでは、ホットココアがふるまわれ、選手たちの疲れた体を癒してくれる。細かな配慮が行き届いた暖かいサービスが嬉しい。レストハウス内で着替えもできるので、乾いたウエアで快適なダウンヒルを楽しめるのだ。
また、同行の応援者用に無料チャーターバスが用意されており、応援者はゴール地点まで送迎してもらえる。今回のレースでも家族や恋人に迎えられているうらやましいライダーを数多く見かけた。
感動の余韻にひたりながら、息を呑むほど綺麗な景色を楽しみつつ下る。絶景スポットで自転車を止め、記念撮影をする参加者たち。スタート地点の天狗山レストハウスまで戻ると、参加者全員に豚汁とバナナが用意されていた。順位表が張りだされ、みんなでレースについてワイワイ話しながらあたたかい豚汁をすする。
こうしていると心地よい疲れと達成感・感動が体のすみずみにまでいきわたるのがわかる。
やっぱり、自転車って素晴らしいスポーツだ。
出てみないと分からない、ヒルクライムの魅力

人はなぜ自転車で山に登るのか。
今まで色々な媒体で言及されてきた話題だ。
達成感?爽快感?素晴らしい景色?これらも言い尽くされてきた。
でも、少しいい自転車を手に入れたのなら、一度くらいは「ヒルクライム」と名のつくものに挑戦してみてもいいじゃないか。
プロレースを自転車の華とするなら、ヒルクライムは自転車の真髄。
「人はなぜ自転車で山に登るのか?」
苦しさや辛さの向こう側に、言葉にはできないその答えが見つかるはずだ。
チャンピオンクラスWINNER
藤田晃三さん
チャンピオンクラスで優勝したのは藤田晃三さん(39)。2位を1分近く離しての37分16秒で独走のゴール。
「毎年このツール・ド・草津を初レースにしているのですが、勝ててよかったです」

一般ロードレーサークラスWINNER
牛丸尚久さん
最速タイムをたたき出したのは一般ロードレーサークラスにエントリーの牛丸尚久さん(42)。37分11秒という圧倒的なタイムでクラス・総合共に優勝(写真2)。42歳にしてこの速さはオドロキだ。私も精進せねば…。

ツール・ド・草津 参加者の声
原田篤志さん
山岳王ジャージを着ているだけあって、41分34秒という素晴らしいタイムでゴールした原田さんは往復30kmの自転車ツーキニスト。ツール・ド・草津は今年で4回目というベテランだ。
「途中風の強い場所があったけど、天気がよくて気持ちよかった!」

池ヶ谷さん
ふだんは愛車ラレーで休日のサイクリングを楽しんでいる池ヶ谷さんは東京からの参加。初めてのツール・ド・草津で6kmの殺生河原コースにエントリー。
「疲れたけど、すごく楽しかった!これから自転車通勤にも挑戦したいです」と笑顔で語ってくれた。

同日に行われた「ツール・ド・八ヶ岳」もレポート!
盛況の第21回ツール・ド・八ヶ岳 〜麦草峠目指して730選手が激走〜
第21回ツール・ド・八ヶ岳が4月15日、長野県の八千穂高原を舞台に開催され、過去最高となる730余名の選手達は佐久穂町堂河原から海抜2127メートルの麦草峠まで標高差1300メートルを一気に駆け上がった。 美しい白樺林。雪が残る八ヶ岳。メルヘン街道をひた走る選手達は絶好のコースコンディションの中、ヒルクライムの醍醐味を満喫した。 レースは男子チャンピオンクラスから年齢別、男女別、体重75キロ以上のヘビー級(バイシクル21杯)まで14のカテゴリーで行われたが、男子チャンピオンクラスで最初にゴールに到達したのはオープン参加の竹谷賢二選手(スペシャライズド=1時間3分51秒)で、優勝は筧五郎選手(1時間4分16秒)。2位は村山利男選手(1時間5分17秒)。競技委員長の市川雅敏氏、ナショナルチームの三浦恭資監督らビッグネームも名を連ね、大会は盛況となった。

麦草峠を目指した選手達
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